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作品を見つめる目

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以前より少なくなってはいるが、児童生徒作品展では特別賞の作品に講評を作品と一緒に展示しています。現在は8点の作品について審査員の先生が講評を書いてくれました。

例えば、

「理科の実験でドキドキしながら見る顕微鏡。何をのぞいていたのでしょうか。○○君の好奇心に満ちた瞳の強さが伝わります。力強い手もとや顔の表情が細かいタッチと躍動感のある線で表現されています。背景との遠近感にも違和感がなく、みごとに調和しています。作者の情熱が感じられます。」

もう一つ

「透明水彩絵の具の特徴を十分生かし、川の流れを美しく表現することができました。また構図を十分に考えてスケッチしており、空気遠近法が効果的に使われています。特に草木の表現では、筆の使い方が美しく、手前の表現と対岸の木々の変化の様子に工夫が見られます。細部までよく観察しており、素晴らしい作品です。」

この講評を書いた先生は作品から何を読み取ったのだろう。
ひとつ目の講評は理科の実験をしている場面の情景が講評からも分かります。二つ目の講評は川の風景だということが分かります。
もっとはっきりしているのは、ひとつ目の講評は絵の中の子どもの気持ちまで読み取ろうという先生の気持ちが伝わりますが、二つ目の講評は、作品の表現上の技法や技術的な視点で作品を読み取ろうとしています。

ここまでくると分かると思いますが、ひとつ目は小学校5年生の理科の実験場面を表現した木版画を小学校の先生が講評しました。二つ目は、中学校3年生の川の風景を描いた水彩画を中学校の先生が講評しています。

これは顕著な例ですが、他の講評も見てみると小学校の先生の講評と中学校の先生の講評では、こどもの思いや気持ちで味わおうとする小学校の先生の作品を見つめる目と、技法や技術的な視点で作品を見つめがちな中学校の先生の傾向が明らかになってきます。

こんなことをここで考えている自分もどちらかといえば中学校の美術教師として、子どもの思いよりも技術的な面に目がいきがちなのですが、それだけではまずい、いけないと思っています。技法的な基礎基本を踏まえつつ、子どもの思いにも気を配りつつ、講評だけでなく普段の授業で子どもと接していくことが大切だと思います。
小中での連携を考え、小中での断絶にならないようにこんな面も大事なのではないでしょうか。
by nobuhiroshow | 2006-03-08 20:19 | 作品展


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