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木へのこだわり

木のぬくもりが好きだ。毎年この時期になると木を削っている自分がいる。

木へのこだわり_e0040515_255740.jpg前任校時代はまだ、必修美術は各学年2時間だったのでどの学年でも木を扱った制作を行っていた。

最初に取り組んだのが、カレースプーン作り。柔らかいシナの木を削って作る。実際に使えるように塗装も考えた。当時はまだウレタン塗装のことを知らなかったか、高価だったのか、ごま油でオイルフィニッシュしたりもしていた。
卒業制作にはカバの木を斜めにスライスして道路工事用のアスファルトを溶かすバーナーで焼いて作る焼き板。卒業への思いを言葉に託して毛筆で書き、版画用のシナベニヤに写して切り抜いて貼り付ける。

木へのこだわり_e0040515_2565657.jpgシナのカレースプーンが、そのうちセンの木のサラダサーバーになったり、ぺーぺーナイフになったり、トレー作りも加えたり、キーラックになったりと変化していったが、共通していることは北海道の地元の木を使うこと。教材会社の材料ではなく、地元の業者から仕入れることである。

地元の木を使う方が気候風土にあっているので、外国産や本州の木を使うよりも完成後のそりなども少ない。何よりも地元の木だと愛着も持ちやすい。それも針葉樹ではなく葉っぱの落ちる広葉樹。落葉することで腐葉土になり森を育てる。また、教材会社から買うとキレイに製材された物が届くが、地元の業者から仕入れると、表面がザラザラで時には黒い文字が書かれていたりする。そのザラザラの板を削っていくことでこんなにぴかぴかの木の作品が生まれるということに生徒は感動する。

木へのこだわり_e0040515_257112.jpg今でこそ、1年生で作るペーパー作りしか取り組んでいないが、小刀で木を削りだしていく経験はなかなかうまくできないし、手もいたくなるし、怪我もするが、生徒達は喜んでいるようである。紙ヤスリで磨きながら番数を上げていき、木の表面がザラザラからつるつる、すべすべへと心地よい感触に変わっていくのもうれしい。


日本は木の文化の国である。木のぬくもりを感じて生活している。そのことを大事にしたい。


薬師寺の西塔などを再興した宮大工の故西岡常一さんが以前テレビの番組でこんなことを言っていた。「千年もつ建物を造るなら千年育った木を使う。千年後に立て直すときにはそこに植えた木が千年かけて育っているはずである。」そんな自然観も大切にしたい。

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by nobuhiroshow | 2005-12-19 02:53 | 表現


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