5週間の教育実習の成果である研究授業の題材名である。実のところ私にとっても旭川に戻ってきて初めての教科の実習担当である。5週間自分でもしっかり指導できるのだろうかと不安もあった。実習前に教育大学3年生の美術の作品展があり見に行ったことがあったが、その会場の当番にいた人が実は実習生であった。
最初は順調にがんばっていたが、途中壁に突き当たり、体調を崩したりもあったけれど、それを乗り越えて研究授業を行った。私もたったの5週間という考えで、いろいろ細かく指導しすぎたかもしれないが、これぐらい乗り越えて欲しいという思いもあった。 彼が授業した絵手紙。2年生の平面構成のデザインの次に取り組む3時間題材である。その3時間を自分で考えて授業を一から組み立てさせた。それも進度の関係で研究授業は最初のクラス。別のクラスで試してから研究授業をすることはできない状態。 1時間目は篆刻消しゴムを用意し、自分の篆刻づくり。カッターで切り抜いて篆刻を制作する。1週おいて2時間目は絵手紙の最初の制作。夏の思い出をテーマに表現する。これが完成まで進んだ生徒は2,3人という状態で明日の研究授業は大丈夫か? と不安になったが、自分なりに授業の改善をして、当日に望んだ。何とか完成の喜びを味あわせたいという彼の思いもあり、授業前に一人一人の机に道具をセットし、制作時間を確保し、集中して制作に取り組ませた。 3時間目の研究授業は題材名の「大切なあの人へ 〜心で描く絵手紙」と言うとおり、誰かに実際に送るものとして制作しようという授業であった。その結果、彼にとっても私にとっても予想外だったのが、その時間で全員の生徒が作品を完成させたのである。多分完成しない生徒がいるはずなので、翌日の放課後に残って完成させるよう予定していたのだけれどその必要もなくなった。彼の美術教師としての努力や担当学級の生徒達とのこの4週間の人間関係の成果であると思う。 実習最終日に作品を返し、「実際に誰かに渡して、自分の作品で誰かを喜ばせてあげよう。」ともう一度働きかけてこの授業は本当に終わりとなる。 「絵手紙とは、あくまで手紙であり、気持ちを伝えるものである。この事は、受け取る側の気持ちを考えさせるということにつながり、相手が喜べるよう努力するなど、思いやる気持ちを育むと同時に、制作意欲向上も期待できる。」とは、日誌にまとめられた彼の言葉である。この授業の題材名も彼の言葉である。 教材研究や指導用の資料作りにおいても生徒にとってわかりやすいものを作成した彼、実習を通じて生徒に感動をいっぱいもらい、教師になる夢を確実なものにしたという。教職に就くのが難しい状況だが、彼のような熱意を持った若者にはがんばってもらいたい。 そして、いつか同じ美術教師として語り合う日が来ることを願っています。
by nobuhiroshow
| 2005-10-04 07:10
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