日本の仏像彫刻のよさ・西洋彫刻のよさ

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 今回の一番の目的である鑑賞の授業である。これを見に釧路に来たようなものだ。
 中学校3年生の授業。授業者は杉山 浩彰先生。
 2時間続きの鑑賞の2時間目。前時は日本の仏像についてスケッチしたり説明を受けている。
 本時は西洋の彫刻と仏像を比較して鑑賞することでそれぞれの良さに気付いていこうというものである。
 西洋の彫刻とは、サモトラ(ケ)のニケ、ミロのヴィーナス、ポセイドン像、ダビデ像、円盤投げである。それらを簡単なエピソードを交えて紹介する。勝利の女神ニケがナイキの語源であるとか、ナイキのマークはニケの翼をモデルにしているとか。
 そこからワークシートに西洋彫刻の特徴をプリントに書かせていく。発表させると、「裸が多い」「手足がない」「リアル(腹筋など)」「スタイルがいい」など発言があり、板書に教師がまとめる。
 次の発問は、西洋の彫刻は、作品を通してどんなことを表現したかったのか?
 生徒達は「人間のありのままの姿」「神がいるってこと」「昔の人はマッチョ」「人間の体の美しさ」と発表し、教師側でそれらは「人間の肉体美」「人間の理想美」と板書でまとめていく。
 それに対して、前時に鑑賞した日本の仏像の画像を手元に見ながら日本の仏像が表したかったことも考えさせる。
 生徒達は「金色の美しさ」「悪いことしたらこうなる」「極楽浄土に行ける」「心とか教え」「神々しさ」などをあげてくる。教師側のまとめは、宗教性、精神性、神秘性と板書。
 ここで、仏像と西洋彫刻のどちらに心を惹かれるか尋ねてみると、仏像7名、西洋彫刻21名という状態。(これはクラスによってバラバラらしい)
 最後の質問は、この2時間で鑑賞した彫刻の中で一番好きな像を選んで、その理由も書こうというものである。
 それに対して、ニケを選んだ生徒が多く、仏像では菩薩などがたまにでてくる程度。選んだ理由も「ニケ・・・タイタニックと同じですごい」「ニケ・・・羽ばたいている感じがいい」「円盤投げ・・・本当に投げようとしている」という感じ。正直もう少し語ってくれてもいいのになと思うところである。
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 指導案にあるとおり、「日本及び諸外国の文化遺産を鑑賞し、表現の相違と共通性に気付き、それぞれのよさや美しさ、創造力の豊かさなどを味わい、文化遺産を尊重するとともに、美術と通した国際理解を深めること」という学習指導要領の目標を意識するならこのような授業もありうる。ただ、社会科にすこし近寄っていないかという部分と、生徒達はこの鑑賞をたのしめたのかという疑問を抱いて分科会に臨む。
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by nobuhiroshow | 2007-08-09 13:23 | 全道造形研 | Trackback | Comments(0)
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