教育美術展の審査に参加しています。
2日日程の半分が終わったところです。 全道各地から集まった17,000点余りの作品。それを70数名で審査していきます。 毎年旭川にも北海道造形教育連盟の各地区委員あてに審査協力の依頼が来ていましたが、いろんな人が参加してみるべきだと意見したところ、今回は私が参加することになりました。 1月には、旭川市教育研究会でも児童生徒作品展の審査を行うので、現状の審査の問題点を改善するためのヒントをもらえたらという思いもありました。 さて、9時からの開会式。注目すべきは審査の観点。A4で4ページに渡って作品の例と共にされていて、研究部からプロジェクターで他の作品も投影しながらの詳細な説明がなされる。これがすごくわかりやすかった。 ・普段の学校教育活動の中で生まれた作品であること ・子供の学年を考慮すること を踏まえて審査にあたるように考えている。 幼稚園なら、『指導性の強い、画一的な絵よりも、個性を重視したい!』 『楽しく描いている』かどうか。『発達段階上無理のない表現である』、『お話が聞こえてくる』など、月齢差を考慮しながら観点をまとめている。 小学校なら、各学年ごとに学習内容に関わる部分と表現したい心に関わっての『自分らしさが感じられる絵になっているか』どうかを中心にさらに細かい観点やキーワードを詳細にまとめている。 中学校なら、関心・意欲・態度面で、『満足感が伝わってくる絵』、発想・構想の能力では『感動・対象への思いや愛情が感じられる絵』、創造的な技能では『意図したねらいを的確な表現が読み取れる絵』とまとめ、絵画領域、デザイン領域として細かい観点もまとめている。 模擬審査を行い、奨励賞とするならどちらがいいのかということを検討し、投影した2点の作品のうちこんな視点で選びましたと説明してくれました。つまり札幌では、子どもの絵をこのよう見るべきですと、明確にしていっている。この地道な共通理解が今年で33回になる教育美術展を続けてこられた大きな要因となっているのではないだろうか。 実際の審査では札幌市の5,6年生及び、中学生のグループに配属となり、まるでベルトコンベアーの様に流れてくる作品の中からこれはという作品を選んで、その中から入選以上の作品を選んでいく。奨励賞候補も決め、あとは、全員による審査で奨励賞を決定する。 こう書くと簡単だが、何しろ量が半端ではない。5年生だけで1時間半近くかかる。このグループだけでも2,909点。よく見たものである。 15:00よりの全体審査が予定より遅れて始まり、幼稚園から奨励賞を決めていく。審査グループごとに説明しながら、指導者の教え込みでなく、子ども自身が楽しんで描いているか? それが伝わってくるか? 北海道造形教育連盟としてこの作品を奨励していいものか? などを意識しながらいろんな立場で意見を出し合い決めていく。これがすごく勉強になる。「これは大人の線だ」「この絵の具の濁りが子どもらしい迷いや楽しさが表れている」など、いったん決まりかけたものがひっくり返ったり、作品に込められた子どもの良さを見つけていく。途中でネットワーク会議のために中座することになり最後まで見ることはできなかったが、研究部の名司会ぶりで順調に進み、それでも18:00近くまではかかったようである。これを毎年行う札幌のみなさんの協力態勢には頭が下がります。 この教育美術展では、学校や学級の出品数に制限を設けているわけではなく、学級全員分の出品ができる。審査する方は大変なのだが、指導者が数点絞って出品するよりも可能性が広がる。労力はかかるが審査はやりやすいと思う。また、奨励賞を決めたように全員で意見し合って作品を決めるというのがいい。自分の担当学年だけでなく、全体を見渡せて、いろんな意見を聞くだけでも子どもに対する見方が変わり、幼・小・中の連携になる。旭川でも参考になる部分が見えてきたような気がする。 そろそろ時間です。2日目の審査に行ってきます。
by nobuhiroshow
| 2006-12-27 07:18
| 美術教育
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