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千年の知恵

昨年書店で見つけて、読みかけになっていた本をやっと読み終えた。
最初の20ページから後は一気に読んでしまった。
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宮大工千年の知恵
語りつぎたい、日本の心と技と美しさ

祥伝社黄金文庫 

著者は松浦昭次(まつうらしょうじ)さん。木造建築の大工棟梁としては故西岡常一氏についで二人目となる「技術者の人間国宝」(正式名称は選定保存技術保持者)に認定された人である。

古来より受け継がれてきた木の文化。軒反りの美しさや木の生かし方、推理小説での謎解きのような文化財の修復、学者との意見の衝突。中世の建築のすばらしさ、今はもう見られない宮大工の職人の修行の世界など、日本の木造建築が千年持ちこたえてきた理由がわかります。
世界に誇れる日本の木の文化。

しかし、残念だったのが、文化財を修復する宮大工さんの地位や待遇がそれほど良くはないということ。そのため修復の技術も後世に伝わっていかない。材料である質のいい木もどんどん少なくなっていく。それこそ、何十年、何百年を考えて育てたり修復することを考えなければならないのにそうはなっていない。

松浦さんはあとがきにこう書いています。「日本人の美への思いと知恵の深さに、もっともっと多くの日本人に目を向けていただきたい。」と。私もそう願います。
by nobuhiroshow | 2006-01-09 20:34 |


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